個別の労働条件との力関係
個別の労働条件との力関係

個別の労働条件との力関係

それでは、個別の労働条件と労働協約、就業規則はどのような力関係にあるのでしょうか?

@労働法規(強行法規) > A労働協約 > B就業規則 > C個別の労働契約

上記の4つの順に基づいた関係となります。
まず、最初にくるのが@労働法規(強行法規)です。違反した場合にはその部分が無効となり、労働法が直接規律することになります。

次がA労働協約です。労働協約は労働組合と会社との書面による合意です。組合員の労働条件は労働法規(強行法規)に反しない限り労働協約の中で取り決める事になります。ただし、労働協約の締結がなければ、考える必要はありません。

その次にB就業規則があり、最後にC個別の労働契約となります。

労働協約がなければ、@労働法規B就業規則C個別の労働契約で条件が決まり、またパートタイマーが就業規則の適用対象外であり、仮にパートタイマー就業規則がなければ、@労働法規C個別の労働契約で条件が決まっていく事になります。

それでは、労働契約と就業規則の適用関係はどうなっているのでしょうか?

就業規則の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効となり、就業規則の定めが適用となります。この場合、あくまでも「基準に達しない労働条件を定めた」場合となり、個別契約において基準以上の有利な条件で締結していれば、個別契約が優先されます。これを「有利性の原則」といいます。
例えば、就業規則に転勤命令があっても、個別契約書において勤務地を限定して締結していた場合は、転勤命令を受けないという意味で有利な合意となっている為、個別契約が優先されます。

労働協約は組合員の条件を有利にも不利にも規律します。これは、労働協約の本質が団体交渉を通して集団的取引の中で妥結点を書面化するからです。有利・不利を一体のものとして組合員の労働条件を規律し、お互いに譲り合いながら妥結点を見いだしていくという考え方です。

ただしこの場合は、「有利性の原則」は認められません。逆にいえば、組合の労働条件については、組合と会社が誠実に交渉を行い書面化すれば、個別同意を取らなくても規律されるということです。

江尻 育弘

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