総則での注意点
総則での注意点

総則での注意点

ほとんどの就業規則には総則の記載があると思いますが、下記の様な文言が記載されていませんか?

「この就業規則の定めにない事項は、労働基準法、その他の法令による」

これは、法令の包括準用規定といいますが、この文言は少し問題がある規定としてチェックが必要です。
まず労働基準法は、国が使用者に対して最低基準のルールを守るように刑罰を持って強制しています。ここでいう使用者とは法人のみならず、経営担当者、管理監督者を含みます。

そして、就業規則が基本的に規律する労働契約関係は、労働者と使用者の約束事、つまり、刑事罰の問題ではなく民事の関係です。

(関係図)
就業規則 第4回 関係図 

刑罰法規と契約の関係でいうと、「労働基準法の基準に達しない労働条件は無効となり、無効になった部分は労働基準法が規律する(労働基準法第13条)」となっています。つまり、使用者と労働者の労働契約は国が刑事罰をもって課す労働基準を下回ってはならず、下回った場合はその部分について無効となり、労働基準法が規律するという意味です。

しかし、労働基準法には強制力があるものだけではなく、事業主に努力義務を求めているに過ぎないものもあります。

厚生労働省が「努めなければならない」としたものを、すべて行わなければ違法というわけではありません。総則にて「法令に従う」と記載してしまった場合、事業主の努力義務とされる部分が、すべて労働契約上で義務として負っていると考えられる可能性があります。どのような法令が引っ張り出されるのかが不確定で曖昧となり、かえってトラブルにもなりかねません。

江尻 育弘

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