退職・解雇に関して(就業規則の読み方・活かし方 第14回)
退職・解雇に関して(就業規則の読み方・活かし方 第14回)

退職・解雇に関して

社会保険労務士 江尻育弘
2018年3月15日

労働契約の終了には2つの場合があります。

  1. 当事者の合意(当事者の意思)で終了する場合
  2. もともと定められている事実が発生した場合(所定事実の発生)

所定事実の発生とは、死亡したとき、休職期間の終了、定年退職等となります。

当事者の意思で終了する場合は、

  • 当事者双方の意思 ・・・ 合意退職又は合意解約
  • どちらか一方の意思 ・・・ 労働者の意思で終わる場合は、辞職
  • 使用者の意思で終わる場合は、解雇となります。

合意退職は、退職の申込みと退職の承諾の意思が一致したときに契約が成立しますが、ここで問題になるのは、誰が承認権を持っているのか、ということです。 直属の上司が持っていると言うことはほとんどないと思います。多くが人事部の上司であったり、場合によっては社長のみというところもあります。

その場合、直属の上司から「明日から来なくていい!」と言われたからといって普通は正当な解雇通知とはなりません。

また、誰に提出するかによって受理が早まったり、遅れたりすることは望ましく有りませんので、退職届をどのような形で稟議するのか、といったルールを决めることは重要ですし、誰に退職に関する承認権を与えるのかを、就業規則の中に職掌として整備することも必要でしょう。

解雇の中で「普通解雇」があります。私傷病や勤務成績不良といった、仕事を充分に果たすことが出来ない事象が発生した場合がこれにあたります。

また「整理解雇」とは、事業縮小等で会社側の責任で辞めていただく場合にあたります。

「解雇」というのは期間の定めの無い人なら解雇する事は出来るのが原則です。しかし、例外論として合理的理由がない解雇は権利の濫用として無効になるというのが「解雇権濫用法理」の考え方です。

「懲戒解雇」は、企業秩序を保つための懲戒権を根拠としています。これは、就業規則の定めにしたがって使用者が持っている権利となります。

普通解雇でよく見る一般的な雛形として、「著しい能力不足で改善の見込みが無い」「著しい勤務成績極めて劣悪で改善の見込みがない」があります。

しかし、中途で営業部長職として採用された部長と新入職員の方を同じ「著しい能力不足」で解雇していいのでしょうか?

ある判例を例に取りましょう。

いわゆる、人事紹介会社の紹介で新設のマーケティング部長として地位を特定して雇用関係に入ったが、能力がないということで解雇された事件です。裁判で解雇は有効と判断されました。

地位を特定して雇用関係に入ったということは、地位にふさわしい能力に応じた成果、義務を果たすことが契約内容であり、逆に、仕事をしていないということは雇用契約に従った義務を履行していない、つまり労働義務としては不十分であり、結論的に、普通解雇理由にあたる事になります。

また、新入職員についても会社は労務提供を求めていきますが、もともと業務未経験であり、いろんな経験を与えて育てていかないといけません。この場合は「能力不足」で一概に新入社員を解雇することは出来ないことになります。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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