旬の特集
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文書作成日:2017/11/23

 先日、厚生労働省から「平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果」(以下、「集計結果」をいう)が公表されました。今後の人口減少に伴い懸念される労働力不足を考えると、高年齢労働者は重要な労働力として位置付けられます。そこで今回は、高年齢労働者に対する雇用確保措置の実施状況と今後の無期転換への対応について解説しましょう。


 31人以上の規模企業において、常用労働者数(約3,080万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約347万人となっており、全体の11.3%を占めています。過去の数値を見てみると、平成21年は常用労働者数が約2,636万人に対して、60歳以上の常用労働者数が約216万人となっており、全体の8.2%だったことと比較すると、人数が増加し、割合も高まっていることが分かります(下図参照)。現状では、10人に1人以上の割合で60歳以上の従業員がいる職場も当たり前の状況となりました。


 高年齢者雇用安定法では、高年齢者雇用確保措置として企業に定年制の廃止、定年の引上げ、継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講じるよう義務付けています。この高年齢者雇用確保措置の導入状況を見ると、定年制の廃止が2.6%(前年比0.1%減少)、定年の引上げが17.1%(同1.0%増加)、継続雇用制度の導入が80.3%(同1.0%減少)となっており、これまでと同様、継続雇用制度を導入している企業が大半を占めています。


 2から分かるように継続雇用制度を導入することにより雇用確保措置をとっている企業が大半を占めていますが、ここで注目しておきたいのが、定年の引上げが前年より1.0%増加している点です。具体的には、今回の集計結果で65歳以上を定年として定めている企業の状況を調べており、以下のようになっています。

・65歳定年の企業:23,835社(前年比1,071社増加)
・66〜69歳定年の企業:1,048社(同 910社増加)
・70歳以上定年の企業:1,709社(同134社増加)

 65歳定年とした企業の増加数と、66〜69歳定年と70歳以上定年とした企業の増加数が1,000社強とほぼ同じ数となっており、60歳定年から65歳定年への引上げ、さらには65歳ではなく65歳を超える年齢を定年に設定する企業が増えてきていることが、結果から読み取れます。


 2018年4月から本格的に労働契約法に基づく無期転換申込権が発生する時代となりますが、定年後の継続雇用制度により、1年などの有期契約で再雇用された労働者についても、契約期間が通算5年を超えると無期転換の申込みができるようになります。ただし、この定年再雇用者に関しては、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(以下、「有期雇用特別措置法」という)で無期転換申込権が発生しないという取扱いが設けられています。

 この有期雇用特別措置法の適用を受けるためには事前に手続きを行う必要があり、「第二種計画認定・変更申請書」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることになります。この申請書には適切な雇用管理に関する計画として、定年再雇用者の特性に応じた雇用管理に関する措置として、「高年齢者雇用推進者の選任」や「健康管理、安全衛生の配慮」といった対応が必要になっています。なお、この有期雇用特別措置法ではあくまで自社で定年前より継続して雇用している従業員が対象で、定年の年齢を超えた人を新たに雇用した場合などは、対象外となるため、対応の際に注意が必要です。


 この「第二種計画認定・変更申請書」は、少なくとも定年再雇用者について無期転換の申込みができる前までに都道府県労働局長の認定を受けておく必要があります。認定を受けるまでに時間がかかったり、また来年3月には提出が殺到する可能性もあるため、早めに提出しておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果」

厚生労働省「労働契約法の改正について〜有期労働契約の新しいルールができました〜」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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