就業規則について
就業規則について

1.就業規則

就業規則には労働基準法に則った作成や、届出の義務があります。昭和の時代のように労働法規の細かい遵守が問われなくてもそれなりの処遇がなされてきた時代には、組織の中で納得性や公平性があれば、外部の人が議論してもしようがないというところもありました。

しかし、昨今は雇用が流動化しています。企業の中では人件費負担の削減や、業務の効率化等も考えていかなければいけないという企業もたくさんあります。その中で、内部告発、さまざまな不正や違法が表に出やすくなっているというところもあり、企業におけるコンプライアンスという観点が重要になってきています。

会社の中で合理的なルール、明確なルールをつくることで互いにそれを守っていき、労使の信頼関係を築いていくという視点も大切になってきました。就業規則には、労働基準法では記載されていない労働者と使用者との間で守るべきルールが記載されています。

2. 就業規則は、何故、作成しないといけないのでしょうか?

労働法では判例や裁判例が重要になります。すべてのことが労働基準法に書いてある訳ではありません。労働時間等のルールについては多少の記載はありますが、解雇や労働条件変更、人事異動、採用についての労働契約法としてのルールの記載はありません。

このような労働基準法では記載されてないルールについて、就業規則を通してある程度明確にしていく必要があります。

つまり、就業規則というのは労働者と使用者との間で守るべき労働条件となります。加えて大切なのが、労基法は最低限のルールですが、必ずしも、使用者を取り締まるということだけが労働法の発想ではありません。会社の中で合理的なルール、明確なルールをつくることで互いに守っていき、労使の信頼関係を築いていくという大切な視点もあるのです。
就業規則の中で明確かつ合理的なルールをつくっておくことは労使間のトラブルを未然に防ぐという意味でも非常に重要です。

この明確で合理的なルールを、働く側に対して伝えていくことが大事です。極端なケースでは、従業員が会社の就業規則を見たことがなく、ある日突然、能力がないという理由で「就業規則第●条により・・・」解雇されてしまった。しかし、「うちの会社に就業規則なんてあったの?」ということになるとどうなるでしょうか。そして、労働法的な不備も含めて、解雇された従業員が労働基準監督署に告発に行ってしまう。そうなると、個人の労働契約の解消という問題が、会社の社内制度の不備の問題などさまざまな問題が混在してしまいかねません。これでは労使間のトラブルを未然には防げませんね。

さて、就業規則というのは最低限のルールに違反しない限りは当然各会社の業種、地域性あるいは企業規模などに応じてある程度、形を変えて作っていくことができます。

しかし、「就業規則にこう書いておけば必ずトラブルは防げます。」とか「解雇は絶対間違いありません」といったものではありません。

就業規則とは何かということですが、使用者が事業を経営する上で定める職場規律や労働条件に関する規則類のことです。基本的には就業規則は使用者が一方的に作成することができます。

手続きとしては下記の義務を果たさなければいけません。

@ 作成義務・・・常時10人以上労働者を雇用する使用者に義務が発生します。
A 意見徴収義務・必ずしも同意を得ないといけないわけではありません。
B 届出義務・・・意見書とともに労働基準監督署へ届け出ます。
C 周知義務・・・常時見やすい場所へ掲示、又は備え付け、交付をすること。

では何故、就業規則は使用者が一方的に定めることができるのでしょうか?

それは、労働契約は労働力の処分権を使用者に委ねるという事に本質的な意味があるからです。就業時間や就業場所、職場規律等は労働契約の本質から導かれてきます。使用者の指揮監督権というのが業務命令権として予定されており、職場規律を使用者が一方的に決めるのは本質的に当然の事なのです。

そのため、就業規則は労働条件も使用者の方で一方的に決めて良いという考えになっています。労働条件と言うのは労働契約の条件ということですが、契約条件は、本来、一方的に決めて良いのでしょうか?民法では、取引条件は当事者の了解がなければできません。一方的には変更できないのです。

例えば、賃金20万を経済状況が悪化したからと言うことで18万に下げる行為は、労働条件を変える事になります。労働条件の変更は、当事者の合意によって成り立つものです。
したがって一方的に下げることはできません。

労働基準法では労働条件についても使用者に一方的に決定権を与えているという考え方を認めています。その趣旨は、画一的(統一的)労務管理の必要性があるからです。会社の中で働くためには労務管理を画一的(統一的)にしていくと言う事で、まずは使用者が労働条件を一方的に決めるという考え方になります。不特定多数の方と契約を締結する場合、労働条件というのは就業規則を読んでいなくても、入社時に「就業規則を遵守します」という誓約書を提出することで統一的な労働条件を包括的に同意したという評価になります。ひとつひとつ細かな合意書を頂くことが必要な訳ではないのです。

中身の合理性のチェックの確認方法は労働基準監督署へ届け出る義務が有りますのでそこで、最低限のルールが守られているかを確認することになります。

社会保険労務士 江尻 育弘

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