健康経営(第3回)
社会保険労務士 江尻事務所(健康経営アドバイザー 江尻育弘(東京商工会議所・認定番号 19000112))は沖縄県内でより多くの企業に「健康」について知ってもらい、取り組んでもらうことができれば、県内の労働環境の改善につながると考えております。(「健康経営について」を読む ›)
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康に関して投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。
沖縄にやってくるプロのスポーツ選手のコンディションを管理されている株式会社ヘルスケアグループファルコン 代表取締役の磯谷貴之様に、ご専門である身体の健康についてコラムを寄せていただいております。3回シリーズの最終回は「ダイエットしたい、けれどお酒がやめられない4つの理由」です。
ダイエットしたい、けれどお酒がやめられない4つの理由
「ダイエットしたいけど、お酒がやめられない」 というお客様は非常に多いです。
もちろんお酒自体が悪ではないですね、 飲み過ぎることが体重増加や健康に害を与えます☆
まず、お酒を飲みたくなるきっかけとなるものを【HALT】と呼ばれます。
H=Hungry(空腹)
A=Angry(怒り)
L=Lonely(孤独)
T=Tired(疲れ)
「HALT」とは上記の頭文字をとった総称です。 頭でお酒をやめようと思っていても、上記のいずれかが当てはまる場合は「お酒を身体が欲しがるサイクル」からは抜けられません。
ではHALTを改善するにはどうするか?
その答えは、ずばり「筋トレ(運動)」です☆
我々が運動の専門家だから推しているというわけではなく(笑)、運動の効果は多岐にわたりま す。 まず筋トレをすると「幸せホルモン」と呼ばれる【セロトニン】が分泌され、
「精神の安定」
「自己肯定感の向上」
という効果を与えてくれます。
《セロトニンの働き》
ちなみに「セロトニン」は、快眠に必要な【メラトニン】をつくる材料にもなるため、 「睡眠」 にも良い影響を与えてくれます。
《セロトニンと睡眠の関係》
そして脳内麻薬とも呼ばれる【エンドルフィン】も運動時に分泌されます。これはランナーなどが感じる「ランナーズハイ」のような、「気分の高揚感」です。 「運動にハマる」「筋トレにハマる」という理由がズバリこれです。
「どうしてきつい筋トレにハマるの?」と運動をしていない人は感じると思いますが(笑)、 上記のような様々な神経伝達物質が分泌されるからです。
体力UP、筋力UPという【フィジカル】に良い影響があるだけでなく、 【メンタル】にも良い影響を与えてくれるのが「運動」のすごさです。
ちなみに近年では「運動療法」という言葉も世の中に浸透してきました。 「乳がん」患者が運動を術後に行なうことで再発率が格段に下がったり、 「うつ病」患者にも運動が一定の効果があるなど、運動療法に関しての科学的なデータが多数出 ています。
治療と予防に関する医療情報を世界に発信している「コクラン・ライブラリ(イギリス)」によ れば、 「うつ病患者への運動の効果は、心理療法や薬物療法と同程度である」とも発表しています。
また、トレーニングを1週間に1回以上行っている場合、 トレーニングをしていない場合と比べて、「がん死亡率」が33%減少したというデータもありま す。 (2013 アメリカ・スローンケタリング記念がん研究所 男女2863名対象〔18~81歳〕)
説明が長々となりましたが、 運動でメンタル面、フィジカル面が改善されることで、 お酒を飲み過ぎてしまうきっかけの「HALT」の改善にもつながり、 病気の予防、改善にもつながります☆
もちろん「どのような運動をするのか?」という判断は非常に重要なので、 スタート時は医師や専属トレーナーの指導を受けることが望ましいと思います。
本日のテーマである 「わかっているけどお酒がやめられない」 という方にこそ運動を推奨したい、と専門家の立場からは常に感じております。