人事労務ニュース
人事労務ニュース

文書作成日:2022/08/02

労働者301人以上の企業が対象になった男女の賃金の差異の情報公表

 女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者が301人以上の企業は一般事業主行動計画の策定や女性の活躍推進に関する情報公表が義務化されました。更に2022年7月8日、新たに男女の賃金の差異の情報公表を義務づける改正が行われました。そこで今回は、この改正の背景、男女の賃金の差異の算出方法、公表の方法および時期についてとり上げます。

1.改正の背景
 今回、男女の賃金の差異の情報公表を行うことになった背景には、他の先進国と比較すると、我が国の男女間賃金格差が依然として大きいという実態があります。そのため、国はさらなる格差是正を図るため、女性活躍推進法に基づく情報公表項目に「雇用する労働者の男女の賃金の差異」を追加し、求職者が企業を選択する際の参考にできるようにすることとしました。

2.男女の賃金の差異の算出方法
 男女の賃金の差異は、全労働者、正規雇用労働者、非正規労働者の3つの区分により公表する必要があります。男性の賃金に対する女性の賃金の割合を、小数点第2位を四捨五入し小数点第1位まで表示します。
 この賃金は労働基準法第11条に定められた賃金のことを指し、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいますが、退職手当(退職金)は年度を超える労務の対価という性質があり、通勤手当等は経費の実費弁償という性格を有することから、企業の判断で賃金から除外する取扱いとして差し支えないとされています。なお、このような取扱いをする場合は、重要な事項として公表時に記載する必要があります。その他、対象期間も必ず記載することになっています。具体的な情報公表のイメージは下表のとおりです。

3.公表の方法と時期
 公表は、従来の情報公表項目と同様に、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページ、その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるようにする必要があります。
 公表の時期は、各事業年度が終了し、新たな事業年度が開始した後、おおむね3ヶ月以内とされています。例えば、2022年7月末に事業年度が終了する場合は、おおむね2022年10月末まで、2023年3月末に事業年度が終了する場合は、おおむね2023年6月末までに公表することが求められます。

 女性活躍推進法の観点から女性の新規採用者を増やした結果、男女の賃金の差が拡大したという事情があるということも考えられるため、この情報公表については、より詳細な情報や補足的な情報を任意に公表することができます。関連するリーフレットや通達等で内容を確認しなから、対象となる企業は情報公表の準備を進めましょう。


■参考リンク
厚生労働省「女性活躍推進法の省令・告示を改正しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26587.html


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

貴社にフィットした就業規則で会社を守ります。お客様の声 江尻事務所を選んでいただいたきっかけ事務所案内福祉施設の施設長に役立つ情報をお届けしています。医療・福祉版 社会保険労務士江尻事務所
メールでのお問い合わせ

社会保険労務士江尻事務所
〒901-2424
沖縄県中頭郡中城村南上原
1020番地2
メールアドレス

社会保険労務士個人情報保護事務所 SRP2 border=

SDGsの取り組み 江尻事務所ができること

 
 

著書

職場の難問2■職場の難問Q&A 労働条件・人事・給与 メンタルヘルス・職場の活力 全100Q&A
出版:医学通信社 全国書店にて発売中

著書一覧を見る ›

社会保険労務士(社労士)について

社会保険労務士(社労士)は主に労働基準法などの労働法をもとに労働環境の整備や労務トラブルの問題解決を行なっています。その他、入職・退職の際に発生する雇用保険・社会保険の手続き、出産育児一時金や出産手当金、助成金の取得などを行なう人事労務管理のエキスパートです。

労働問題などのトラブル対応だけでなく、業務改善・作業効率化にも強く、生産性の向上などにも力を入れて適切な指導とアドバイスを行い、サポートします。

詳しく読む ›