会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2020/02/13


 坂本工業では、妊娠中の従業員がおり、産前産後休業(以下、「産休」という)の取得にあたり、業務の引継状況等を確認するための面談を行った。その際、産休期間中に年次有給休暇(以下、「年休」という)を取得したいという希望があったため、社労士に相談することにした。

 こんにちは。先日、妊娠中の従業員と面談をしたのですが、今日はそのことについて相談に乗ってください。

 どのようなことでしょうか。

 その従業員は、勤続7年の従業員ですが、年休が23日残っているとのことで、産前休業直前まで働き、その後(産前休業期間中)に年休をすべて消化したいと言っています。これまで産休を取得した従業員もいるのですが、産前休業(出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合98日))となるタイミングで産休を開始していたので、どのように考えればよいのかわからなくなりました。

 なるほど。ご本人は産前休業となるタイミングから年休を取得したいと言っているわけですね。

 はい。産前休業期間中に無給となることを避けたいとのことで、産前休業が開始する日から23日間の取得を希望しています。もちろん、健康保険から出産手当金が支給されると伝えたのですが、出産手当金より給与のほうが多いということで年休の取得を希望しているようです。

 いろいろ考えて年休の取得を希望しているようですね。ポイントは、産前休業は従業員が請求したときに取得させるものということです。従業員が産前休業ではなく、その期間に年休を取得すると申し出た場合には、年休を優先させることになります。

 そうなのですね!産前休業も休ませる必要があると思っていました。ちなみに出産後に取得することもできるのでしょうか?

 出産後の産後休業は、労働基準法で従業員を働かせてはならないことになっています(産後6週間を経過した一部の従業員を除く)。つまり、産後休業は従業員の請求の有無に関わらず、必ず休業する期間になります。そのため、そもそも産後休業の期間には働く義務がなくなっており、その日に対して年休を取得することはできません。イメージ的には、休日に年休が取得できないようなものです。

 なるほど。そもそも休みとなっている日に年休を取得することは、確かにないですね。

 まとめると、産前休業の期間に年休を取得することはできますが、産後休業の期間に年休を取得することはできない、となります。

 よくわかりました。

 ところで、産休中は社会保険料の徴収が免除になるかと思いますが、産前休業の期間に年休を取得したときには、同様に免除されるのでしょうか。

 産休中の社会保険料の徴収の免除は、産休期間中に妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間について対象となります。その期間に給与が支給されているときであっても、実際に働いていないのであれば、免除の対象となります。

 そうなのですね。給与計算の際には、誤って控除することのないように注意が必要ですね。

 そうですね。また、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を管轄の年金事務所(事務センター)に提出してください。

 申出書には、産前期間中に取得する年休の期間も含めて記載するということですね。

 そのとおりです。よろしくお願いいたします。


>>次回に続く



 今回は、産休期間中の年休取得と社会保険料免除の取扱いについて解説しましたが、出産にまつわる給付として挙げた出産手当金について補足しましょう。
 出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときに支給されます。支給額は従業員の過去の標準報酬月額によって個別に計算されますが、給与の額よりも下回ることが多いようです。また、年休を取得した日については、報酬が受けられると判断されるため、支給されません。

■参考リンク
日本年金機構「産前産後休業保険料免除制度」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-04.html
協会けんぽ「出産で会社を休んだとき」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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