女性の本音で考える復帰のコツ! 〜長く働くためには職場のサポートが大切〜
育児休業の取得は「働きやすさ」に密接に関係し、従業員の「採用と定着」に効果があります。
しかし、沖縄労働局の調査によれば、育児休業関係の相談は年間500件と多く、是正指導も300件弱と、まだまだ課題が多いのが現状です。
社会保険労務士 江尻事務所は従育児休業と職場復帰のポイントについて知ってもらうことで、県内の労働環境の改善につながると考えております。
今回、育児休業と復帰についてコラムを担当する弊所のスタッフである河野麻菜は、航空会社、専門学校で勤務を経て、育児休業制度の整備を行うなど働きやすい職場環境作りの推進を行っています。これまで同僚や自身が体験したことも踏まえてお話しいたします。
妊娠報告時の心構え 上司の想い・妊娠社員の想い
いつ上司に報告したらいいのか?
「いつ上司に報告したらいいのか?」
妊娠した働く女性の多くが思う最初の悩みです。
私は女性が多く働く業界に勤めて来ましたが、こうした不安を抱える同僚をたくさん目にし、自分自身もその一人となりました。
報告した時の上司や周りの反応を想像し、伝えるタイミングを伺っているものです。
そもそも妊娠が分かってすぐに周りに報告することを躊躇う理由としては、「報告後に流産になったらどうしよう」「職場復帰の見通しがまだ言えない」など様々なリスクを考えてしまいます。
その一方で、本人としては妊娠初期から始まる悪阻や体調不良で迷惑をかけてしまう前に、早く職場へ打ち明けたい気持ちもあります。
このような考えを張り巡らせながら、上司へ報告している女性も多いです。
「いつ復帰できるの?」と聞く前に…
緊張の面持ちで伝える妊娠報告。
本人にとっては、上司の反応が今後の復帰の明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。
報告を受けた上司として、まずは「おめでとう」という一言で祝福してあげましょう。
安堵の気持ちと共に妊娠した自分を受け入れてくれる上司の一言に社員は信頼を寄せます。
社員のプライベートの喜びも共に分かち合える企業こそが、ワークライフバランスの向上にも繋がります。
企業にとって産休育休の道のりは、避けては通れない何度も通る道となります。
その道を安心して気持ちよく通過できるよう整備するためには、上司と部下との信頼関係が何よりも大事です。
管理者としてはいつから人員が減り、いつから復帰するのかなどその後の体制が最も気になるでしょう。
心から「おめでとう!」と言えるためには、上司は「手順」を知り「制度」を整え、女性社員から打ち明けられる心構えをしておくことがコツです。
妊娠報告後のコミュニケーション
1.上司や周囲からのこまめな声掛け
妊娠中は体調も日々変化し、個人差も大きく、環境によっても異なります。体調の変化や状況を本人から報告しやすくなるようコミュニケーションをこまめにとりましょう。
2.育休取得経験者を挟む
男性上司の中には、女性の妊娠に関する事情に触れにくいという方も多いのではないでしょうか。
面談や話し合いの際に育休取得経験者を挟むことで必要な事をヒアリングでき、また妊娠中の社員からも相談しやすい環境が作れます。
3.他の社員への報告
いち早く喜ばしいニュースを伝えたいところですが、本人の意思を尊重して報告のタイミングを選びましょう。
役員会議で社員の妊娠を知らされた役員が、全社員の前で「妊娠おめでとう」と妊娠した社員へ声を掛けてしまう現場を見た事がありました。
役員からすると祝福の気持ちを伝えたまでなのですが、思いがけないタイミングでの全社員への発表となってしまい、女性はその後プレッシャーを感じて過ごしていました。
このように本人に相談なく周知されると、信頼関係は崩れてしまいます。
業務に影響が出る場合は引き継ぎのために早めに知らせる理由を説明し、相談の上で進めていくようにしましょう。