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沖縄の課題と最低賃金

各位

いつもお世話になっております。

令和7年度最低賃金改定について、全国の地方最低賃金審議会による答申が厚生労働省から公表されました。改定額は都道府県労働局での異議申出手続を経た後、令和7年10月1日から令和8年3月31日にかけて順次発効される予定となっています。

 

今年度の特徴は発効日まで長めの準備期間が設定されていることです。特に沖縄県においては、この改定が地域経済に与える影響が特に注目されます。沖縄県の産業構造は観光業やサービス業が中心となっており、これらの業種では最低賃金で働く従業員の割合が他の都道府県と比較して高い傾向にあります。そのため、最低賃金の引上げは沖縄県内事業者にとって経営上の重要な課題となっています。

 

沖縄県の観光関連事業者の多くは、季節変動による収益の波が大きく、特にコロナ禍以降は経営基盤の強化が急務となっています。最低賃金改定に伴う人件費増加は、これらの事業者にとって大きな負担となる一方で、従業員の処遇改善により人材確保や定着率向上が期待できる機会でもあります。沖縄県特有の地理的条件により本土との賃金格差が課題となってきましたが、今回の改定により格差縮小への一歩となることが期待されます。

 

また、沖縄県内では若年層の県外流出が深刻な問題となっており、最低賃金の引上げが地元雇用の魅力向上に寄与する可能性もあります。観光業の復調とともに、ホテルや飲食業での人手不足が顕在化している中、適切な賃金水準の確保は人材確保戦略として重要な要素となっています。

 

各事業者においては、現在雇用している全従業員の賃金確認を早急に実施し、改定後の最低賃金を下回らないよう対応を進める必要があります。国の業務改善助成金などの支援制度も活用しながら、生産性向上と従業員の処遇改善を両立させ、持続可能な経営基盤の構築を目指すことが重要です。発効日に向けて計画的な準備を進めましょう。

江尻