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令和8(2026)年1月分

沖縄労働市場データ抽出レポート

 

作成日:令和8年3月3日発表資料より

■ 0. 基調判断(本体1ページ目)

基調判断文(原文)

沖縄の雇用情勢は一部で堅調な動きがみられるが、求人の動きに落ち着きがみられる。引き続き物価上昇等が雇用に与える影響に注視する必要がある。

前月からの変化点

「求人の動きに落ち着きがみられる」という表現は、新規求人数が9か月連続・月間有効求人数が27か月連続で前年比減少している状況を踏まえたもの。「物価上昇等が雇用に与える影響に注視」という表現は近月継続している文言であり、基調判断の骨格に変化はない。

 

■ 1. 全体の基本指標(資料1-2:就業地別・季節調整値)

指標

当月値(R8.1)

前月比

方向

有効求人倍率(季節調整値)

1.07倍

▲0.01P

↓

新規求人倍率(季節調整値)

1.82倍

+0.01P

↑

月間有効求人数(季節調整値)

29,161人

+0.6%(182人増)

↑

月間有効求職者数(季節調整値)

27,211人

+1.1%(284人増)

↑

新規求人数(季節調整値)

10,518人

+7.8%(765人増)

↑

新規求職申込件数(季節調整値)

5,792件

+7.6%(410件増)

↑

 

新規求人・求職ともに1月の季節的な増加を反映して前月比プラスとなったが、有効求人倍率は求職者側の増加幅がわずかに上回ったため小幅低下。全国平均(1.27倍)との差は依然として0.20ポイント開いている。

 

■ 2. 雇用形態別の格差

2-1. 正社員(資料8-2:就業地別)

指標

当月値(R8.1)

前年同月比(差)

正社員有効求人倍率(原数値)

0.78倍

+0.01P

正社員新規求人倍率(原数値)

1.06倍

+0.04P

正社員新規求人数

4,519人

+4.9%(+211人)

正社員有効求人数

12,275人

▲1.9%(▲234人)

就職件数

338件

▲1.7%

就職率

7.9%

▲0.3P

充足数

350件

+1.4%

充足率

7.7%

▲0.3P

 

2-2. パートタイム(資料9-2:就業地別)

指標

当月値(R8.1)

前年同月比(差)

パート有効求人倍率(原数値)

1.04倍

▲0.02P

パート新規求人倍率(原数値)

2.23倍

▲0.30P

パート新規求人数

4,791人

▲11.8%(▲643人)

パート有効求人数

10,366人

▲12.5%(▲1,482人)

就職件数

423件

▲9.0%

就職率

19.7%

▲2.0P

充足数

427件

▲9.3%

充足率

8.9%

+0.2P

 

2-3. 正社員 vs パートの比較コメント

充足率は正社員7.7%・パート8.9%と差は1.2ポイントにとどまるが、就職率は正社員7.9%に対しパート19.7%と約2.5倍の開きがあり、「正社員はマッチングが成立しにくい」という構造が継続している。

正社員の新規求人数は前年比+4.9%と3か月ぶりに増加転換した一方、パートは新規・有効ともに▲11〜12%台と二桁減が続いており、パート求人市場の縮小が鮮明になっている。

 

■ 3. 産業別ミスマッチ

3-1. 医療・福祉の求人状況(資料4-2:就業地別)

指標

当月値(R8.1)

前年同月比

医療・福祉 新規求人数(全数)

3,910人

▲3.7%

 うち常用

3,540人

▲2.1%

 うち医療業(常用)

1,238人

▲10.7%

 うち社会保険・社会福祉・介護事業(常用)

2,296人

+3.6%

 

3-2. 全産業の充足数との対比(資料2-2)

指標

当月値

全産業の充足数(当月)

1,034件

医療・福祉の新規求人数(当月)

3,910人

差分(医療・福祉求人 − 全産業充足数)

+2,876

 

医療・福祉1産業の新規求人だけで全産業合計の充足数の約3.8倍に達しており、「求人は出るが人員補充は進まない」という構造的欠乏が続いている。

 

3-3. 主要産業の新規求人数 上位5業種(資料4-2:就業地別)

順位

産業

新規求人数

前年同月比

1

医療、福祉

3,910人

▲3.7%

2

公務・その他

1,669人

▲10.9%

3

サービス業(他に分類されないもの)

1,146人

+3.0%

4

宿泊業、飲食サービス業

1,056人

▲6.5%

5

卸売業、小売業

959人

▲20.5%

 

3-4. 前年同月比で大きく変動した産業(資料6-2:就業地別・常用)

増加上位3:学術研究・専門技術サービス業(+27.0%)、教育・学習支援業(+23.8%)、サービス業(他に分類されないもの)(+18.5%)

減少上位3:金融業・保険業(▲58.2%)、情報通信業(▲13.8%)、卸売業・小売業(▲12.9%)

 

■ 4. 求職者の年齢構成

4-1. 有効求職者の年齢構成(資料13)

区分

有効求職者数

構成比

全体(職業計)

25,658人

100%

うち45歳以上

13,644人

53.2%

 

※資料13「職業計」行の有効求職者計25,658人のうち45歳以上列13,644人から算出

4-2. 前月・前年同月との比較

本月の53.2%はプレゼン設定値「52%」をすでに上回っており、構造は悪化傾向にある。資料13は単月表示のため月次比較には各月分が必要であり、前月R7.12・前年R7.1との数値比較は次月以降の継続追跡で確認を推奨。

 

■ 5. 企業規模の二極化

5-1. 事業所規模別 新規求人数(資料4-2:就業地別)

規模

新規求人数

前年同月比(常用)

29人以下

7,228人

▲3.4%

30〜99人

2,440人

▲3.2%

100〜299人

1,188人

▲5.5%

300〜499人

262人

▲41.1%

500〜999人

726人

▲10.5%

1,000人以上

427人

▲22.1%

 

5-2. 小規模(29人以下)vs 大規模(300人以上)の構成比

29人以下の構成比:58.9%(7,228÷12,271)

300人以上(262+726+427=1,415人)の構成比:11.5%

全規模が前年比マイナスの中、300〜499人規模の▲41.1%が突出しており、中堅・大規模企業による採用抑制が進んでいる。

 

■ 6. 地域間格差(ハローワーク別)

6-1. ハローワーク別 有効求人倍率(本体3ページ:第4表、原数値)

ハローワーク

有効求人倍率(R8.1)

前年同月差(R7→R8)

那覇

1.19倍

+0.02P

沖縄(中部)

0.89倍

▲0.10P

名護

1.53倍

+0.08P

宮古

2.23倍

+0.55P

八重山

1.88倍

▲0.11P

 

6-2. 地域間の特徴コメント

最高(宮古2.23倍)と最低(沖縄中部0.89倍)の差は1.34ポイントで、1倍を下回っているのは沖縄中部のみ。宮古は前年比+0.55Pと突出した伸びを示しており、離島・北部での人手不足が深刻化している。那覇・中部という人口集中エリアで倍率が低く離島で高いという逆転構造が続いており、顧問先が那覇圏の中小企業であれば「倍率は低いが充足率も低い」という特有の難しさに直面している。

 

■ 7. 職業別ミスマッチ(資料10:就業地別・職業別バランスシート)

7-1. 求人倍率が特に高い職種 上位5(人手不足が深刻)

職種

新規求人数

新規求職者数

求人倍率

生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く)

12人

1人

12.00倍

建築・土木・測量技術者

318人

48人

6.63倍

運輸・郵便事務従事者

36人

7人

5.14倍

医師・歯科医師・獣医師・薬剤師

43人

9人

4.78倍

接客・給仕職業従事者

585人

138人

4.24倍

 

※量的に重要な職種:社会福祉専門職業従事者(1,213人÷339人=3.58倍)、介護関係(うち)1,252人÷313人=4.00倍も特記要

 

7-2. 求人倍率が特に低い職種(求職者過剰)

職種

新規求人数

新規求職者数

求人倍率

機械組立従事者

3人

32人

0.09倍

その他の輸送従事者

3人

14人

0.21倍

美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者

36人

64人

0.56倍

一般事務従事者

1,593人

1,386人

1.15倍

 

一般事務は量が最大(求人1,593人・求職1,386人)で充足率8.9%・就職率10.0%にとどまり、量の多さの割に成立しないミスマッチが深刻。

 

7-3. 賃金ギャップが大きい職種(資料11:就業地別・フルタイム常用)

職種

求職希望賃金(月給)

求人平均賃金(月給)

差額

情報処理・通信技術者

225,065円

328,069円

+103,004円(求人が上回る)

建築・土木・測量技術者

260,323円

358,663円

+98,340円(求人が上回る)

管理的職業従事者

336,364円

271,903円

▲64,461円(希望が上回る)

電気工事従事者

311,316円

261,017円

▲50,299円(希望が上回る)

 

IT・建設技術系は求人賃金が希望を10万円近く上回っており、求職者が求人条件の良さを認識していない可能性がある。管理職・電気工事は希望賃金が求人水準を上回り、賃金のギャップそのものが充足率の低さに直結している。

 

■ 8. 求職動向(資料2-2・本体4ページ)

指標

当月値

前年同月比

月間有効求職者数(原数値)

25,769人

▲6.0%(▲1,653人)・16か月連続減少

新規求職申込件数(原数値)

6,426件

+0.9%(+60件)・2か月連続増加

雇用保険受給資格決定件数

1,236件

+1.3%(+16件)

有効求職者のうち在職者

4,873人

▲6.0%

有効求職者のうち離職者

17,465人

▲3.2%

 うち事業主都合

4,171人

▲2.5%

 うち自己都合

12,382人

▲3.3%

有効求職者のうち無業者

3,431人

▲18.4%

 

無業者の前年比▲18.4%が突出して大きく、求職活動を継続できない層の離脱が進んでいることが示唆される。

 

■ 9. 就職動向(本体5ページ)

指標

当月値

前年同月比

就職件数(全体)

1,020件

▲1.6%(▲17件)・6か月連続減少

県内就職件数(構成比)

972件(95.3%)

+0.7%(+7件)・6か月ぶり増加

県外就職件数(構成比)

48件(4.7%)

▲33.3%(▲24件)・4か月連続減少

 

就職件数全体は6か月連続で減少しているが、県内就職は6か月ぶりに増加に転じた。県外就職は4か月連続減少で、沖縄に留まって仕事を探す傾向が強まっている。

 

■ 10. 月次サマリー

全体の基調

有効求人倍率(就業地別・季節調整)は1.07倍と前月比▲0.01Pの小幅低下。月間有効求人数は27か月連続、新規求人数は9か月連続で前年比マイナスが続いており、局が表現する「求人の動きに落ち着き」は実質的な求人減少の継続を意味する。

 

最大の注目点

300〜499人規模の大企業新規求人が前年比▲41.1%と突出した急減。全規模でマイナスとなる中でも中堅・大企業の採用抑制幅が際立っており、小規模事業所への求人集中(構成比58.9%)が一段と強まった。

 

構造的ミスマッチの現状(3つのズレ)

【産業偏在】 医療・福祉の新規求人が全産業充足数の約3.8倍(3,910人対1,034件)に達し、1産業で構造的充足不能が常態化している。

【年齢構成】 有効求職者の53.2%が45歳以上と「52%超え」が現実化。プレゼン設定値をすでに上回っている。

【企業規模】 29人以下が全求人の59%を占めながら大企業が採用抑制という二極化がさらに加速している。

 

まとめ

正社員の充足率7.7%という数値は「10件求人を出して充足できるのは0.77件」を意味する。採用競争に勝つには求人票の改善だけでなく、IT・建設技術職でみられるように「求職者が希望賃金と求人賃金の差(最大10万円超)を認識していない」という情報ギャップを埋める採用広報戦略が有効。

また無業者の求職者が前年比▲18.4%と大幅に減少していることは、労働市場から離脱した潜在求職者をどう掘り起こすかという、中小企業の採用戦略における新たな課題を示している。

 

出典:厚生労働省沖縄労働局「労働市場の動き」令和8(2026)年1月分(令和8年3月3日発表)