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健康経営・産業保健 解説レポート

令和7年 職場における定期健康診断実施結果

〜沖縄の有所見率 73.2% は全国ワースト1位(同率)〜

顧問先の経営者向け解説版出典:沖縄労働局 令和8年8月28日公表解説:社会保険労務士/健康経営エキスパートアドバイザー 江尻事務所

令和8年8月28日、沖縄労働局から令和7年の定期健康診断の実施結果が公表されました。県内の有所見率は73.2%で、全国平均を大きく上回り、都道府県のなかで最も高い水準(同率1位)となっています。この結果が自社の従業員にとって、そして経営にとって何を意味するのかを、数字の背景とあわせて分かりやすく整理しました。

今回のいちばんの注目点

沖縄の有所見率は前年から2.5ポイント上昇して73.2%となり、令和5年にいったん抜け出した全国最下位に、令和7年で再び並びました。全国平均(59.7%)との差は13.5ポイントで、前年に比べ2.2ポイント広がっています。働く人のおよそ4人に3人が、何らかの所見を指摘されている計算になります。

沖縄県の有所見率
73.2
前年比 +2.5ポイント
全国での位置
ワースト1位
秋田県と同率
全国平均との差
13.5pt
前年比 +2.2ポイント拡大
全国平均の有所見率
59.7
沖縄はこれを上回る

1.そもそも「有所見率」とは

有所見率とは、定期健康診断を受けた人のうち、健診項目のいずれかに何らかの異常の所見があった人の割合をいいます。今回の集計は、県内の延べ1,110事業場から提出された結果報告書(受診者112,406人)に基づくものです。有所見率が高いということは、それだけ生活習慣病などのリスクを抱える従業員が多いことを示しており、放置すれば病気の発症や重症化、休業につながりやすい状態にあるとご確認いただけます。

2.10年間の推移でみる沖縄の位置

沖縄の有所見率は平成28年の64.8%から一貫して上昇を続け、令和7年に73.2%まで達しました。全国平均も緩やかに上昇していますが、その上がり方は沖縄のほうが急で、全国との差は開く傾向にあります。

職場の定期健康診断 有所見率の推移(平成28年〜令和7年)沖縄県と全国

出典:沖縄労働局「令和7年職場における定期健康診断実施結果について」資料@(厚生労働省「定期健康診断結果調」)。

3.どの検査項目で高いのか

項目別にみると、沖縄はほぼすべての検査項目で全国平均を上回っています。とくに血中脂質(39.6%)、血圧(29.2%)、肝機能(23.6%)、血糖(21.2%)といった生活習慣病に直結する項目で、全国との差が大きく開いています。逆に、尿(糖)だけは全国平均をわずかに下回っています。

沖縄県全国(横軸の最大値=45%で表示)
血中脂質
39.6
30.7
血圧
29.2
18.7
肝機能
23.6
16.0
血糖
21.2
13.5
貧血
13.9
9.2
心電図
13.5
11.3
胸部X線
11.5
4.8
聴力(4000Hz)
10.6
7.3
喀痰
6.8
1.8
聴力(1000Hz)
6.4
3.8
尿(蛋白)
5.5
3.5
尿(糖)
3.7
3.9
検査項目 沖縄県(%) 全国(%) 差(pt)
血中脂質 39.6 30.7 8.9
血圧 29.2 18.7 10.5
肝機能 23.6 16.0 7.6
血糖 21.2 13.5 7.7
貧血 13.9 9.2 4.7
心電図 13.5 11.3 2.2
胸部X線 11.5 4.8 6.7
聴力(4000Hz) 10.6 7.3 3.3
喀痰 6.8 1.8 5.0
聴力(1000Hz) 6.4 3.8 2.6
尿(蛋白) 5.5 3.5 2.0
尿(糖) 3.7 3.9 ▲0.2

出典:資料B(厚生労働省・沖縄労働局「定期健康診断結果調」)。「差」は原典の沖縄県値・全国値から当所が算出した値です。

4.どの業種で高いのか

業種別(受診者1,000人以上の業種が対象)にみると、製造業と運輸交通業がともに81.4%で最も高く、次いでその他の事業、通信業、建設業と続きます。全業種平均の73.2%を上回る業種が多く、身体を動かす仕事や交替制勤務のある業種で有所見率が高い傾向がうかがえます。

順位 業種 有所見率(%)
1 製造業 81.4
1 運輸交通業 81.4
3 その他の事業 77.6
4 通信業 76.1
5 建設業 74.8
  全業種平均 73.2

出典:資料C(沖縄労働局「定期健康診断結果調」、令和7年、高有所見率順)。令和4年は労働安全衛生規則改正前後を加重平均した推計値です。

5.経営にとって、この数字が意味すること

有所見率の高さは、単に健康の問題にとどまりません。所見を抱えたまま働く従業員が多いほど、体調不良による欠勤(アブセンティーズム)や、出勤していても本来の力を発揮できない状態(プレゼンティーズム)が増え、生産性の低下につながりやすくなります。血圧や血糖、血中脂質といった項目は、脳・心臓疾患のリスクとも関わるため、突然の長期離脱や、業務との関連が問われる事態を招くこともあります。

とくに中小企業では、一人の従業員が長期に離脱した際の影響が大きく、代替要員の確保も容易ではありません。だからこそ、重症化してから対応するのではなく、健診結果を起点に早めに手を打つ予防的な取組みが、結果として経営の安定につながるとご確認いただけます。

6.明日から取り組める予防のヒント

健診は「実施して終わり」ではなく、結果をどう活かすかが重要です。次の3つは、規模の小さな会社でも着手しやすい取組みです。

@ 結果を放置しない

有所見者に対しては、医師からの意見聴取(就業上の措置の要否の確認)と、その結果に基づく事後措置を徹底します。健診結果の本人への通知も確実に行います。

A 保健指導につなげる

生活習慣に関わる血圧・血糖・血中脂質の所見が多いため、保健指導や特定保健指導の受診勧奨が効果的です。産業医・衛生管理者・衛生推進者の選任も、規模に応じて確認します。

B 外部の支援を使う

沖縄産業保健総合支援センターや地域産業保健センターでは、産業保健サービスを無料で利用できます。「うちなー健康経営宣言」への登録も、社内外への姿勢の発信につながります。

7.沖縄労働局の目標と支援策

沖縄労働局は「第14次労働災害防止計画」(令和5年度からの5か年)で、働き盛り世代の健康づくりを進める目標として、有所見率の全国平均との差の拡大に令和9年までに歯止めをかけることを掲げています。あわせて、「うちなー健康経営宣言」の登録事業場を令和9年までに5,000件以上とすること、健診結果に基づく保健指導や治療と仕事の両立支援などの産業保健サービスを提供する事業場の割合を令和9年までに80%以上とすることを目指しています。9月は「職場の健康診断実施強化月間」、10月1日から7日は全国労働衛生週間にあたり、健診の実施と事後措置を見直す好機です。今年の週間スローガンは「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」です。

この解説レポートの監修
社会保険労務士 江尻事務所
健康経営エキスパートアドバイザー

東京商工会議所認定の健康経営エキスパートアドバイザーとして、健診結果を起点とした健康づくりの体制整備から、「うちなー健康経営宣言」への登録や健康経営優良法人の認定取得まで、沖縄の中小企業の実情に合わせて伴走支援します。労務管理と健康経営の両面から、無理なく続く仕組みづくりをお手伝いします。

労務・健康経営のご相談は、江尻事務所へ

健診結果を活かした就業上の措置、産業医・衛生管理者などの体制整備、保健指導や健康経営の進め方など、本ページに関連するご相談を承っております。江尻までお気軽にご相談ください。

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