業種別補足レポート/医療・福祉版 特別編
医療・福祉の離職率 沖縄の女性を5年分で読む
〜令和7年は24.3%と全国の約1.7倍。ただし医療・福祉に限ると年ごとの振れが大きく、全産業では5年続けて全国を上回る〜
医療法人・社会福祉法人の経営者向け 対話で読む解説版出典:厚生労働省「雇用動向調査」(令和3年〜7年)監修:社会保険労務士/医療労務コンサルタント/健康経営エキスパートアドバイザー 江尻育弘
厚生労働省の「雇用動向調査」から、全国の医療・福祉の入職率と離職率を令和4年から7年までの4年分たどり、そのうえで都道府県別表をもとに、沖縄の女性の離職率を令和3年から7年までの5年分で読み解きます。江尾社労士とスタッフのさくらの対話でお届けします。
江尾社労士
解説役。統計の読み方と、経営への活かし方をお話しします。
スタッフ さくら
聞き手。経営者の方が気になる点を、代わりに質問します。
江尾
社労士
全国の医療・福祉は、令和5年・6年・7年の調査結果から、令和4年から7年までの4年分をたどります。沖縄については、厚生労働省が公表している都道府県別の離職率の表を、令和3年から7年まで5年分そろえました。
さくら
沖縄の女性の離職率を、5年続けて見られるのですね。
江尾
社労士
はい。前回は令和7年の1年分だけでしたが、5年分並べると見え方がかなり変わります。そこが今回のいちばんの読みどころです。
さくら
「一般労働者」というのは、正社員のことですか。
江尾
社労士
いいえ、そこは注意が必要です。この調査の「一般労働者」は、パートタイム労働者以外の常用労働者のことで、正規職員だけを意味するものではありません。1か月以上の期間を定めて雇われているフルタイムの人も含みます。
今回のいちばんの注目点
沖縄の医療・福祉で働く女性の離職率は、令和7年に24.3%と全国の14.2%を大きく上回りました。ただ、令和3年からの5年間は32.3%、8.0%、4.9%、8.8%、24.3%と大きく上下しており、全国より低い年が3回あります。医療・福祉に限った県別・男女別の値は振れが大きく、令和7年だけで判断することはできません。一方、全産業で見た沖縄の女性の離職率は、5年続けて全国を上回っています。
沖縄 医療・福祉 女性の離職率
24.3%
令和7年・全国14.2%・47都道府県中6番目
同 5年間の幅
4.9〜32.3%
令和3〜7年(全国は13.6〜15.4%)
沖縄 全産業 女性の離職率
25.7%
令和7年・全国15.1%・5年連続で全国超
全国 一般労働者の離職率
13.6%
医療・福祉。産業計との差2.2ptは4年で最大
1.全国の医療・福祉 4年の推移
数値表を開く(計・一般労働者・パートタイム 令和4〜7年)
| 年 |
入職率 |
離職率 |
入職超過率 |
| <計> |
|
|
|
| 令和4年 |
14.4% |
15.3% |
▲0.9pt |
| 令和5年 |
16.0% |
14.6% |
+1.4pt |
| 令和6年 |
14.1% |
13.8% |
+0.3pt |
| 令和7年 |
14.5% |
14.3% |
+0.2pt |
| <一般労働者> |
|
|
|
| 令和4年 |
12.9% |
13.8% |
▲0.9pt |
| 令和5年 |
13.6% |
13.3% |
+0.3pt |
| 令和6年 |
13.1% |
13.1% |
±0.0pt |
| 令和7年 |
13.1% |
13.6% |
▲0.5pt |
| <パートタイム> |
|
|
|
| 令和4年 |
18.0% |
18.9% |
▲0.9pt |
| 令和5年 |
21.6% |
17.8% |
+3.8pt |
| 令和6年 |
16.6% |
15.7% |
+0.9pt |
| 令和7年 |
17.6% |
15.9% |
+1.7pt |
江尾
社労士
令和4年は、一般労働者もパートも離職超過でした。公表値では、令和5年のパートの入職率は21.6%で、離職率を3.8ポイント上回りました。ただ、令和5年からは調査対象事業所の抽出方法が変わり、令和6年以降は推計に使う母集団情報も更新されていますので、年ごとの比較は幅をもって見る必要があります。令和6年は、一般労働者は入職と離職が13.1%で並びました。
さくら
そして令和7年に、一般労働者がまた離職超過に戻ったのですね。
江尾
社労士
はい。入職率は13.1%で前年と同じなのに、離職率だけが13.6%に上がりました。パートは令和5年から3年続けて入職超過ですが、一般労働者は、離職者数が入職者数を上回った年が4年のうち2回ありました。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和5年(令和6年8月27日公表)付属統計表2−1〜2−3、令和6年(令和7年8月26日公表)・令和7年(令和8年8月31日公表)付属統計表2−2。令和4年の値は令和5年調査に掲載された前年値です。「一般労働者」はパートタイム労働者以外の常用労働者で、正規職員に限りません。年次比較に当たっては、令和5年調査からの事業所規模5〜29人の抽出方法の変更や、令和6年調査からの推計に用いる母集団情報(毎月勤労統計調査のベンチマーク)の更新による影響に留意が必要です。
2.一般労働者の離職率 全産業との差
さくら
医療・福祉の一般労働者の離職率は、ずっと全産業より高いのですね。
江尾
社労士
4年とも高く、差は令和4年1.9、令和5年1.2、令和6年1.6、令和7年2.2ポイントです。全産業では令和5年の12.1%から11.4%まで下がってきたのに、医療・福祉は令和7年に13.6%へ戻りました。
さくら
全国の一般労働者では、産業計の離職率が下がった一方、医療・福祉では上がったのですね。
江尾
社労士
そうです。差が4年で最も広がったのが令和7年です。全国でも、医療・福祉の一般労働者の定着が改めて課題になっていると読めます。
出典:同調査 各年の付属統計表(一般労働者)。差は医療,福祉の離職率から産業計の離職率を引いた値で、当所が算出しました。
3.令和7年の沖縄 医療・福祉を男女別に見る
| 区分 |
入職率 |
離職率 |
入職超過率 |
| 全国計 男性 |
15.7% |
14.7% |
+1.0pt |
| 沖縄県 男性 |
29.4% |
20.9% |
+8.5pt |
| 全国計 女性 |
14.1% |
14.2% |
▲0.1pt |
| 沖縄県 女性 |
13.7% |
24.3% |
▲10.6pt |
さくら
ここからが今回の本題ですね。沖縄の女性の離職率は24.3%です。
江尾
社労士
全国の女性は14.2%ですから、約1.7倍です。年初の女性常用労働者100人に対し、1年間の離職者数が約24人に相当する計算です。
江尾
社労士
入職率は13.7%で、全国の14.1%とほぼ同じです。つまり、入ってくる人は全国並みなのに、辞める人だけが全国より10ポイントも多い。差し引きで▲10.6ポイント、年初の女性常用労働者100人に対し、年間の離職者数が入職者数を約11人上回る計算です。個々の施設の人数が、そのまま同じ割合で減ることを意味するものではありません。
江尾
社労士
沖縄の男性は入職率29.4%、離職率20.9%で、どちらも全国よりずっと高く、入る人のほうが多い。全国では男女の動きはよく似ていますが、沖縄では男性は「よく入り、よく辞める」、女性は「入りは全国並みで、辞めるのが多い」と、男女でくっきり分かれました。
さくら
女性の入職率は、男性の半分以下なのですね。
江尾
社労士
はい。女性は男性に比べて入職率が低く、女性では離職者数が入職者数を上回っています。ただ、それぞれ男女別の年初の常用労働者数を分母にした率ですから、採用人数や欠員の数を直接比べたものではありません。
出典:離職率は、厚生労働省「雇用動向調査」都道府県別表5「都道府県、産業(大分類)、企業規模(GT,E)、性別 離職率」(令和7年 年計)。入職率・入職超過率は、提供資料「医療,福祉の入職率と離職率・入職超過率(%、ポイント)」(同調査より作成)によります。提供資料の離職率は都道府県別表5の値と47都道府県すべてで一致することを確認しましたが、入職率の元の統計表は確認できていません。倍率・人数換算は当所が算出しました。入職・離職には同一企業内の他事業所への転出入を含まないため、実際の在籍人数の増減とは一致しません。
4.令和7年 47都道府県のなかの沖縄
さくら
47都道府県を高い順に並べると、沖縄は上から6番目ですね。
江尾
社労士
徳島県42.8%、秋田県28.3%、愛媛県25.9%、三重県25.5%、山形県24.4%に次ぐ高さです。都道府県のちょうど真ん中の値は14.0%ですから、沖縄はその1.7倍あまりです。九州・沖縄の8県のなかでは最も高く、2番目の大分県21.5%を2.8ポイント上回ります。
さくら
提供資料では、入職超過率も大きなマイナスでしたね。
江尾
社労士
提供資料の値では▲10.6ポイントで、徳島県、青森県に次ぐ3番目です。ただ、入職率の元の表はまだ確認できていませんので、ここでは参考にとどめます。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」都道府県別表5(令和7年 年計、医療,福祉、女)。順位・中央値は47都道府県の値から当所が算出しました。
5.沖縄の女性の離職率 5年の推移(医療・福祉)
数値表を開く(医療,福祉 女性の離職率 令和3〜7年)
| 年 |
沖縄 女性 |
全国 女性 |
沖縄の 順位 |
| 令和3年 |
32.3% |
13.6% |
1位 |
| 令和4年 |
8.0% |
15.4% |
43位 |
| 令和5年 |
4.9% |
14.4% |
45位 |
| 令和6年 |
8.8% |
14.2% |
34位 |
| 令和7年 |
24.3% |
14.2% |
6位 |
江尾
社労士
そうなのです。沖縄の医療・福祉の女性の離職率は、令和3年が32.3%で47都道府県の1位、令和4年から6年は8.0%、4.9%、8.8%と全国を大きく下回り、令和7年にまた24.3%へ上がりました。全国が13.6%から15.4%の間で安定しているのと比べると、上下の幅がとても大きいのです。
さくら
令和7年だけを見て「沖縄の女性は辞めやすい」とは言えないのですね。
江尾
社労士
はい。5年のうち全国を上回ったのは2回、下回ったのは3回です。5年の単純平均は沖縄15.7%、全国14.4%で、差は1.3ポイントです。ただし、労働者数による重みづけはしていない参考値です。
江尾
社労士
沖縄の男性の医療・福祉の離職率は、令和3年から5.2%、3.9%、12.4%、3.2%、20.9%でした。男性も令和6年の3.2%から令和7年の20.9%へ跳ね上がっています。男女とも同じ年に大きく動いていることからも、医療・福祉に限った沖縄の数字は、年ごとの振れが大きいと受け止めるのが妥当です。細かな区分の推計値は標本誤差の影響に注意が必要で、単年の数値や順位だけで地域の特性を断定しないことが大切です。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」都道府県別表5(令和3年〜7年 各年の年計、医療,福祉)。順位は47都道府県のなかで離職率が高い順。5年の平均は各年の率を単純平均した参考値で、労働者数による重みづけはしていません。年次比較に当たっては、調査対象事業所の抽出方法や推計に用いる母集団情報の変更による影響に留意が必要です。
6.全産業で見た沖縄の女性の離職率
数値表を開く(全産業 女性の離職率 令和3〜7年)
| 年 |
沖縄 女性 |
全国 女性 |
沖縄の 順位 |
| 令和3年 |
21.3% |
15.3% |
6位 |
| 令和4年 |
25.3% |
16.9% |
2位 |
| 令和5年 |
39.6% |
17.3% |
1位 |
| 令和6年 |
18.3% |
16.0% |
13位 |
| 令和7年 |
25.7% |
15.1% |
2位 |
さくら
全産業で見ると、沖縄の女性の離職率は毎年、全国より高いのですね。
江尾
社労士
はい。全国との差は令和3年から順に+6.0、+8.4、+22.3、+2.3、+10.6ポイントで、5年続けて全国を上回りました。47都道府県の順位も6位、2位、1位、13位、2位と、毎年上位にあります。全産業は医療・福祉だけより対象が広いぶん、一つの産業に限った値よりは振れの影響を受けにくいと考えられます。それでも令和5年の39.6%のように、大きく動く年はあります。
江尾
社労士
沖縄の男性の全産業の離職率は、令和3年を除く4年で全国を上回っています。ただ、女性ほど毎年はっきり上回っているわけではありません。
さくら
医療・福祉の経営者の方は、これをどう受け止めればよいでしょう。
江尾
社労士
全産業を合計した沖縄の女性の離職率は、今回取り上げた5年間、全国を上回っています。ただし、これは「どの産業でも高い」という意味ではなく、医療・福祉に限ると全国を下回る年が3年あります。それでも、医療・福祉は女性が多く働く職場ですから、全産業で見たこの傾向も視野に入れて、定着の手立てを考えておく必要があります。令和7年の24.3%は、その注意を促すサインとして受け止めるのがよいでしょう。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」都道府県別表5(令和3年〜7年 各年の年計、産業計、女・男)。全国との差・順位は当所が算出しました。
7.女性はなぜ辞めるのか(全国・全産業)
さくら
沖縄の女性が辞める理由は、分かるのでしょうか。
江尾
社労士
沖縄の、しかも医療・福祉に限った離職理由は、調査の公表資料にはありません。ここでは手がかりとして、全国・全産業の女性の離職理由を見ておきます。
女性の離職理由別離職率は全国・全産業の値で、主な理由を抜粋しています。定年・死亡・傷病などは省略しているため、各行の合計は離職率(計)と一致しません。
数値表を開く(女性の離職理由別離職率 令和5〜7年)
| 女性の離職率 |
令和5年 |
令和6年 |
令和7年 |
| 離職率(計) |
17.3% |
16.0% |
15.1% |
| 個人的理由 |
13.7% |
12.9% |
11.7% |
| うち結婚 |
0.3% |
0.2% |
0.1% |
| うち出産・育児 |
0.2% |
0.3% |
0.3% |
| うち介護・看護 |
0.2% |
0.2% |
0.2% |
| うちその他の個人的理由 |
13.0% |
12.2% |
11.2% |
| 契約期間の満了 |
2.2% |
1.8% |
1.8% |
| 事業所側の理由 |
0.6% |
0.6% |
0.8% |
さくら
結婚や出産・育児、介護が理由の離職は、思ったより少ないですね。
江尾
社労士
この理由は、本人ではなく事業所が回答したものです。女性の離職の4分の3は「その他の個人的理由」で、具体的な事情は表に出てきません。退職届に「一身上の都合」と書かれるのと同じで、本当の理由は見えにくいのです。
江尾
社労士
令和7年の女性の離職者に占める割合で見ると、各年齢階級の女性離職者に占める出産・育児を理由とする割合は、30〜34歳で8.7%、25〜29歳で4.3%です。結婚を理由とする割合は25〜29歳で4.2%、介護・看護を理由とする割合は55〜59歳で4.5%です。
数値表を開く(年齢別 女性の離職理由の割合 令和7年)
| 女性の年齢 |
結婚 |
出産・育児 |
介護・看護 |
| 25〜29歳 |
4.2% |
4.3% |
0.4% |
| 30〜34歳 |
1.4% |
8.7% |
0.5% |
| 35〜39歳 |
0.9% |
3.3% |
0.9% |
| 45〜49歳 |
0.0% |
0.6% |
2.0% |
| 55〜59歳 |
― |
― |
4.5% |
| 女性 計 |
0.8% |
1.8% |
1.2% |
出典:同調査 令和5年・6年・7年 付属統計表3−2(性、離職理由別離職率)、令和7年 付属統計表3−1(性、年齢階級別にみた離職理由別離職者の割合)。離職理由は離職者がいた事業所が回答した理由です。全国・全産業の値で、医療,福祉や沖縄県に限った値ではありません。「―」は該当者なしです。
8.沖縄の女性の離職をどう受け止めるか
さくら
結局、沖縄の女性の離職が多い理由は、統計からは分からないのですね。
江尾
社労士
統計で確かめられるのは、医療・福祉に限ると沖縄の女性の離職率は年によって大きく上下し、令和7年は全国を大きく上回ったこと、そして全産業で見ると沖縄の女性の離職率は5年続けて全国より高いこと、というところまでです。理由は、この集計だけでは特定できません。
さくら
経営者の方は、何を手がかりにすればよいでしょう。
江尾
社労士
全国・全産業の離職理由を年齢別に見ると、出産・育児を理由とする割合は20代後半から30代前半で、介護・看護を理由とする割合は50代後半で、ほかの年代より高くなっています。医療・福祉では夜勤やシフト勤務があり、こうした家庭の事情と勤務の両立が難しくなる場面もあるでしょう。
江尾
社労士
そうとは限りません。同じ令和7年の調査で、転職してきた女性に前の職場を辞めた理由を聞いた結果では、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%、「給料等収入が少なかった」が8.6%でした。結婚は1.4%、出産・育児は1.6%、介護・看護は1.0%です。対象は離職者全体ではなく転職入職者ですが、働き方や職場の人間関係も、辞める理由として大きいことが分かります。
さくら
自分の職場ではどうなのか、確かめる必要がありますね。
江尾
社労士
そうです。家庭との両立に加え、労働時間・休日、人間関係、賃金、業務負担も含めて、自院・自施設の退職理由を確かめることが大切です。辞めた女性職員の年齢、勤続年数、職種、雇用形態、そして本人が退職面談で語った理由を記録しておくと、自分の職場のどこに穴があるかが見えてきます。
江尾
社労士
沖縄のハローワークで介護サービス職を探している有効求職者は、7割が45歳以上です(令和8年8月)。男女別の内訳はありませんが、中高年の方も応募しやすい短時間勤務や日勤のみの働き方を用意しておくことは、入職の入口を広げる一つの方法です。
転職入職者が前職を辞めた理由は、厚生労働省「令和7年雇用動向調査」表5(女性、全国・全産業)によります。「7割が45歳以上」は、沖縄労働局「労働市場の動き」令和8年8月(資料13、就業地別・職業別・常用の有効求人・有効求職バランスシート)の介護サービス職業従事者の有効求職者746人のうち45歳以上525人(70.4%)で、ハローワークの有効求職者が対象です。男女別の内訳ではありません。
9.自院・自施設の数字と比べる
さくら
自分の職場の離職率は、どう計算すればよいですか。
江尾
社労士
1年間の離職者数を、1月1日現在の常用労働者数で割って100を掛けます。女性の率を出すときは、分子も分母も女性にそろえてください。1月1日現在の女性の常用労働者が40人の施設で、1年間の女性の離職者が10人なら25.0%で、沖縄の女性の24.3%とほぼ同じ水準です。入職率も併せて出すと、採用による入職と離職のどちらが多いかが分かります。在籍人数の増減は、法人内異動なども含めて別に確認してください。
自院・自施設で出しておきたい数字
離職率(%)=1年間の離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100、入職率(%)=1年間の入職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100。男性・女性、一般労働者・パートタイム労働者に分けて出す場合は、分子・分母を同じ区分にそろえます。そのうえで、比べる目安として、令和7年の医療・福祉(全国計 女性 入職率14.1%・離職率14.2%、全国 一般労働者 入職率13.1%・離職率13.6%、沖縄県 女性 離職率24.3%)と見比べてください。沖縄県の医療・福祉の値は年ごとの振れが大きいため、全国の値や、全産業の沖縄県 女性 離職率(令和7年25.7%)もあわせて参考にしてください。あわせて、辞めた職員の年齢・勤続年数・職種・本人が語った理由を記録しておくと、手を打つべき場所が見えてきます。
10.まとめ
江尾
社労士
全国では、医療・福祉の一般労働者の離職率が全産業より高く、その差は令和7年に4年で最大の2.2ポイントになりました。沖縄では、医療・福祉の女性の離職率が令和7年に24.3%と全国の約1.7倍でしたが、5年分を並べると4.9%から32.3%まで大きく上下しており、令和7年だけで判断することはできません。一方、全産業で見ると、沖縄の女性の離職率は5年続けて全国を上回っています。
江尾
社労士
まず、ご自分の職場の女性職員の入職率と離職率を出し、辞めた人の年齢と理由を確かめてください。そのうえで、出産・育児や介護と両立できる勤務の組み方に加え、労働時間・休日、夜勤やシフトの負担、職場の人間関係、賃金といった、働き方そのものを見直すことです。
さくら
女性が辞めずに働き続けられ、いったん離れても戻ってこられる職場、ということですね。
江尾
社労士
ええ。医療・福祉は女性が支える職場です。女性の定着は、そのまま職場全体の人員の安定につながります。
この解説レポートの監修
社会保険労務士 江尻育弘
健康経営エキスパートアドバイザー 医療労務コンサルタント
医療機関・介護事業所の労務管理を専門に、採用計画・賃金設計・就業規則の整備から、治療と仕事の両立支援、「うちなー健康経営宣言」への登録や健康経営優良法人の認定取得まで、沖縄の医療・福祉現場の実情に合わせて伴走支援します。人手不足のなかでも、働き手が定着する職場づくりを、予防的な観点からお手伝いします。
女性職員の定着のご相談は、江尻事務所へ
自院・自施設の入職率・離職率の算出と分析、退職理由の把握の仕組みづくり、育児・介護と仕事の両立を支える勤務制度や就業規則の整備、夜勤・シフト体制の見直しなど、医療・福祉の人材定着に関するご相談を承っております。江尻までお気軽にご相談ください。
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【出典】厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(令和6年8月27日公表)、「令和6年雇用動向調査結果の概況」(令和7年8月26日公表)、「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。都道府県別の離職率は、同調査 都道府県別表5「都道府県、産業(大分類)、企業規模(GT,E)、性別 離職率」(令和3年〜7年 各年の年計)によります。沖縄県・全国計の令和7年の男女別入職率・入職超過率は、提供資料「医療,福祉の入職率と離職率・入職超過率(%、ポイント)」(同調査より作成)によります。沖縄の求職者の年齢は、沖縄労働局「労働市場の動き」令和8年8月(資料13)によります。
【注記】雇用動向調査は各年1月〜12月の1年間の実績で、5人以上の常用労働者を雇用する事業所が対象です。「一般労働者」はパートタイム労働者以外の常用労働者で、正規職員に限りません。入職率・離職率の分母は1月1日現在の常用労働者数で、入職・離職には同一企業内の他事業所への転出入を含みません。都道府県別・男女別の細かな区分の推計値は標本誤差の影響に注意が必要です。年次比較に当たっては、調査対象事業所の抽出方法や、推計に用いる母集団情報の変更による影響に留意が必要です。離職理由は全国・全産業の値です。数値は原資料の値をそのまま記載し、差・倍率・順位・人数換算は当所が算出しました。マイナスは「▲」で表記しています。本文の対話は、統計の内容を分かりやすくお伝えするために構成した解説です。
本レポートは厚生労働省および沖縄労働局の公表資料を基に、社会保険労務士・医療労務コンサルタント・健康経営エキスパートアドバイザーの江尻育弘が監修し、医療・福祉の事業者向けに解説したものです。
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